2017年8月14日月曜日

森下幹人が恐怖しながらも魅入られた映画「怪談」を語る

突然ですが森下幹人はホラー映画が苦手です。
パニックホラーならまだ大丈夫ですが幽霊や得体の知れない化け物が出てくるホラーは直視できません。そんな森下幹人でも直視できたホラー映画が「怪談」です。もっとも直視したせいで最後は絶叫してしまいましたが。

絶叫した理由について触れる前にまずは作品について簡単にまとめておきます。
1965年に公開された「怪談」の原作は小泉八雲さんの作品である「怪談」から抜粋された話を映像化したものです。いわゆるオムニバス形式の作品で、10年という構想時間と9ヶ月の撮影期間がかけられました。そのうえ約3億円という製作費がかかりましたが配給収入は2億2500万円だったために赤字という結果になった事で有名な作品です。しかし第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞の受賞をしたりローマ国際映画祭では監督賞を得ています。

そんな「怪談」の話は4つ、「黒髪」と「雪女」と「耳無芳一の話」と「茶碗の中」です。
このうち2つである「雪女」と「耳無芳一の話」は広く知られていますが「知っているから」と言って甘く見てはいけません。芳一が壇ノ浦の合戦を琵琶で語るシーンではその音に合わせて合戦のシーンが展開されており、それは和船10隻を浮かばせて限りなく当時の戦いを再現しています。それに加えて演出は素晴らしく、芳一の耳が千切れた後にやって来た来客たちは生者か死者なのか見分けがつきませんでした。そして森下幹人が絶叫した「茶碗の中」は一言で言えば訳が分からない怪談でした。それでも着物は全て美しく、俳優さんたちの振る舞いも洗練されていてつい魅入られてしまいました。